このまま死ぬまでワイドパンツしか履かないのか

大転子をなんとかすることにした。

43歳。骨盤横の出っ張り、大転子をなんとかしたくなったのだ。

思い起こせば、小学校4年生の頃には、脚の太さに悩んでいた。
子供の頃からふくらはぎが筋肉質で太かった。
お風呂でマッサージをしていると、母に『子供がそんなことしなくていいよ』と言われた。
母は、絶妙に小洒落た人だったが、美容に関心が強かった記憶はない。
洋裁学校を出ており、子供の服はもちろん、自分の服やスーツ、コートも作り、洋服のことには詳しかった。
国内はもちろん、海外のデザイナーや、ハイブランド、ファッションの歴史にも詳しかった。
でも、流行りのメイクやヘアスタイルを追ったり、ダイエットに余念がなかったイメージはない。
私が保育園の頃、近所のお母さんとダイエット目的で自転車での送迎を試みてくれたが、見事にふたりとも腰を痛め、私が覚えている限りでは2・3度しか母の自転車の後ろには乗っていない気がする。
確か、何かの抽選で自転車が当たったのではなかったか？？
一つ覚えているのは、保育園からの帰り道、大きなヘビが現れ、母達が『キャー！！』っと、悲鳴上げたこと。
後ろに乗っていた私と幼馴染は顔を見合わせて静かに笑った。
子供ながらに、母たちがまだヘビでこんなに可愛らしい悲鳴を上げるのかと思ったことをよく覚えている。
あと、母が股のところでパチンと止める水着みたいな下着を着ていたことも覚えている。あれはなかなか苦しかっただろう。
そう思うと、母もきれいになろうとしていたのだと気づく。

しかし、友達の家でお母さんの鏡台で遊んでいて、ビューラーを見つけた時は驚いた。
何をする機械かわからなかったのだ。
友達にまつげを挟むと聞いて、更に驚いた。
何のために！？まつげのような小さな物を挟んでどうするのだ！？
うちにはないなぁ。お母さんは持ってないなぁ。やっぱり、若いお母さんとは違うなぁ、と感じたのだ。
私は、末っ子で、母が33歳のときの子供だ。今ではなんともないが、当時は母が他のお母さんより年がいっていると感じることは時々あった。
そんなことで、母は私が高校生になっても、痩せたいと思う乙女の気持ちをあまり理解してくれなかった。
夕飯を控えていると、『食べなさい』『ダイエットなんてしなくていい』とよく言った。
母の気持ちが、私にもわかるようになったのは私に子供が生まれてからだ。子供に食べさすということは母親の本能なのだと気づいたのだ。その話はまたおいおい。

そんなこんなで、私は子供の頃から脚の太さを気にはしていたが、真剣に改善に努めることなく今まで来てしまった。母の協力が得られなかったことは、脚が細くならなかった要因の一つとしている。
しかし、ここに来て、大転子を引っ込めて、きれいな脚になりたいと、真剣に思うようになったのだ。もちろん、太いふくらはぎもなんとかしたい。

数年前、私はワイドパンツがよく似合うことに気づいた。
ワイドパンツがよく似合う・・・膝丈スカート・タイトスカート・スキニー・テーパードパンツ・ハーフパンツ・カーゴパンツ・キュロットなど、ワイドパンツ以外どれも似合わないのである。
膝から下が見えるもの、腰回りがピッタリしているものが全く似合わない。
その結果、私はワイドパンツがよく似合う、と前向きに解釈してきたのだ。
クローゼットの中はワイドパンツばかり。せいぜいフレアのマキシ丈スカートが数枚あるのみ。
シルエットは基本同じで、柄勝負。コーディネートの幅が広がらず、ワンパターン。
私、このまま死ぬまでワイドパンツしか履かないのか！？と気づき、がっかりしたのだ。

子供の頃から、ずっとふくらはぎの太さを気にしてきた。
それでも若い頃は、ブーツでふくらはぎを隠せばミニスカートを履くことはできた。膝上は細かったのだ。パンプスにミニスカートは憧れたけど履けなかった。
43歳になった今、ふくらはぎも相変わらずの太さを保ち、気づけば大転子もしっかり幅を効かせ、細かったはずの膝上はもったりと膝にのしかかっている。
ミニスカートとは言わないが、膝丈スカートやテーパードパンツを履きたい。ロングのタイトスカートなんかも履いてみたい。
40代になったら、膝下丈のマーメードスカートを履来たい。と、20代の頃からずっと憧れている。
このままだと、私、一生憧れのスカートを履かずに死んでいく。
脚が太いという理由で、今後死ぬまでワイドパンツしか履かないなんて！！
私の人生にタイトスカートを履いた経験を刻みたいのだ！

ということで、顔もなんとかしながら、脚もなんとかしようと思う。
私、キレイになりたいのだ。
おしゃれを楽しみたい、垢抜けたいのだ。

頑張る。

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