父が東京に行きたいと言い出した。
難題ではあるが、せっかくだから快適に行ってもらえるよう、全力で応援することにした。
早速、相談を受けた翌日、仕事終わりに姉と実家に行くことに。交通手段と宿の予約をするつもりだ。
子供たちにテイクアウトのカレーを持ち帰り、自分はマクドの安いセットと父母姉と食べるために三角チョコパイを購入。
19時過ぎに実家に着くも、どうも不穏な空気。
一応家から持参したPCをネットに繋いでいると、父が口パクで『もう行かん』と言い出した。
え!?行かんの??なんなん??私なにしにきたん!?
と、驚いていると、姉が『まぁそう言わんと』となだめている。
どうやら、父と父の姉達の都合が、合わないのだそう。
都合というか、姉の1人が今風邪を引いているそう。
だから、延期するという父と、わざわざ娘達が来てくれたのにもう決めようよ?と言う母の間で不穏な空気が漂っていたのである。
『もう行かん。また今度。延期。』と口パクで言う父。
『そんなこと言うてたらもう行けやんで』という母。確かに勢いは大事だ。
『うるさい。オマエ行かんでいい』と口パクで言う父。
なんなんだこれは。
せっかく、年老いた父母が快適に旅できるようサポートするつもりでわざわざ急いで仕事帰りに来たのに。
なんなんだコレは。
結局、旅は翌週以降に延期とすることとし、とりあえずネット予約で障害者割引が使えるようにアプリやらマイナカードやらの設定をしてその日はお開きとなった。
三角チョコパイは姉の子供たちにお土産に持って帰ってもらった。
もともと夫婦喧嘩をするような父と母ではない。
声を荒げたり、言い合いをすることもない。
ただ、こんな光景を何度か見たことがあるような。
母は優しく穏やかな人だ。
優しくて、穏やかで、面倒見がよく、心配性である。
父のことが心配で、1人で東京にやることができず、自分も付いていくことにしたけれど、二人では旅の段取りをすることもできず、娘たちの手を借りることにしたものの、行くと言ったり、行かないと言ったり、娘たちに迷惑をかけていると怒っているのだ。
その心配が父にとってはうるさいのだ。
こんなシーンを数えるほどだが見たことがある。
むしろ、二人が喧嘩しているときはいつもこういう光景な気がする。
心配する母に、うるさいと父が言う光景。
私は所在なくただずむ。
父と母の喧嘩に慣れていないのである。
慣れていないので、どうしていいかわからない。
43歳にもなって両親の些細な喧嘩で動揺するのもどうかと思い、なんてことない。と言う顔をしてポテトを食べ続けた。
味もわからないし、ハンバーガーを食べることも忘れてただただポテトを食べ続けた。
ポテトを食べている。と言う状況が続いてほしかった。ポテトがなければなにをしていたらいいのかわからない。
70を超えた夫婦が、口パクとポツポツで喧嘩する様子は、娘から希望を奪う。
やっぱり老後は1人でいよう。
そんなこんなで、2日、父と母に振り回された。
振り回されてもいいが、なにも進んでない振り回しだった。
今週末、改めて旅の予定を組むつもりにしている。
障害者の諸々の登録に3日ほど要するそうで、週末にはその手続きが完了しているはずなので仕切り直しだ。
しかし、疲れるな。
それでなくても年老いた二人の東京行きを心配しているのに、こんなことでは行く先不安しかないが、私達にできることは見送りまでだ。
後は二人でなんとかしてもらわないと。
さぁ、なんとか週末までに私も気を取り直して、サクッとなんてことないって顔して予約を完了し、気持ちよく出発してもらおう。
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