100均の誘惑

数年前から、ミニマリストに憧れている。
憧れているだけで、今のところ到底ミニマリストは名乗れない。
だけどまぁ、私の回りの人の中ではそこそこミニマリストな方だと思う。

【断捨離】って言葉が流行った頃から、定期的に断捨離をしている。断捨離は大好きだ。
ただ、捨てるけど買うタイプだった。
ちゃんと捨てる、ちゃんと買う。なので、ミニマリストではなかった。

しかし、数年前に【ミニマリスト】に憧れるようになり、持ち物だけじゃなく、お金とか、思考とか、人間関係とか、そういったものもミニマルに考えるようになった。
クレジットカードや、通帳の整理、思い出の品やら、保険の見直し、スマホのアプリ、家電・・・色々なものを見直した。
人との付き合いや、好きじゃなかった習慣や行事も、無理しないようになった。
持ち物は、一箇所づつ全部出して、本当に好きなもの、必要なものだけを残す方法で一掃した。
靴箱、キッチン、引き出し、タオル、床下収納、掃除道具・・・それぞれ場所やカテゴリーづつ全部出して、一つ一つ手にとって選別した。
大量にあった服やかばん類も
『ホンマにコレ好きなん？？着るん？？てか、入る？？』
『ちょっと汚くない？？もしコレ着てる時に初恋の人に会ったらどうすんの？？メンタル大丈夫？？』
『高かったし・・・とか思ってるんちゃうん？？全然似合ってないで』
自分に問いかけつつ、しっかり本当のお気に入りだけを手元に残した。
食器も見直した。
気に入っているけど、実はちょっと欠けてる・・・昔、姉が『欠けたお皿を使うな！ビンボ臭い！』と言っていた。
だけど、よく行くスパイスカレー屋さんは、珍しいデザインの欠けたお皿で提供してくれる。全然悪い気はしない。
むしろ、欠けても使いたくなるくらいお気に入りなんだと思うと、こちらまでそのお皿を大切にしたくなる。
だけど、私が持っているのは、所詮欠けたつまらぬ皿なのだ。
どこで買ったかもわからない、特に思い入れもない欠けた皿は捨てよう。
そして、100均のお皿。
居酒屋風のお皿は、長方形で3つに仕切られている。
アラカルトのような物を少しづつ盛るといいんだろうが、そんな飯は我が家では出ない。何か盛ったところで、欲張りな私は用意したもの全部盛りたいので、汁が仕切りを越して隣のスペースに・・・私の生活に全然会ってない。
随分前に買った取り皿は、藍色の手書き風のラインが入っている。
それっぽく見えると言えば見える。黙って『〇〇焼きの皿』と言われれば、私は、ほぉ。と唸るだろう。
サイズ感がまぁまぁ良くて、謎めいて割れない。だけど気に入ってるわけではない。
私の頭の中に『コレは100均のお皿』というのがこびりついていて、テンションが上がらないのだ。
物の良し悪しがわかるような人間ではないが、100均のお皿と知っているから、気分が上がらないのである。
全然平気という人も当然多いだろうが、私は少しそういうところがある。
今後の人生を思うと、そういうつまらぬことを気にしないほうが生きやすいようにも思うが、こういうのを【こだわり】と言えばそうなのかも知れないし、価値観と言われればこの気持ちは大切にすべきとも思う。
とりあえず、私は一旦100均のお皿を手放した。気持ちはスッキリした。
昔テレビで、回転寿司はマグロを食べられると赤字、100均はお皿を買われると赤字と言っていたので、100均のお皿は本来100円では買えない上等なものなのかも知れない。
※随分随分昔に見たテレビの話です。

そんなこんなで、しっかり物を見直しながら手放すと、今まで私はこんなつまらないものにお金を出していたのか。ということに気づく。
ひどい時は、私、お金出してゴミを買ってたんやな・・・と思うことすらある。
元々ゴミなものを捨てるだけの断捨離じゃなく、手にとって、好きかどうか、大切かどうか、必要かどうか見極めながらちゃんと断捨離を行うと、今度はものを買う時に真剣に吟味するようになった。
家の中に入れるものを、慎重に選ぶようになったのだ。
『私は、本当にコレを家に入れたいのか』
自分に問うようになった。
本当に必要か、家に同じようなものはないか、どこに置くつもりなのか、どれくらい使うのか、今欲しいと瞬間的に思っているだけではないか。
しっかり考えないと、私はまたゴミを買うことになる。せっかくキレイにした家にまた不要なものを入れたくないのだ。
そう考えるようになり、今は100均に行っても、狙ったものしか買わない。
今日はゴミ袋、と買うものを決めてそれだけを買う。
あ〜これくらいのカゴあれば便利そう！などで買ったりはしない。買う時はちゃんとサイズを図り、どう使うか決めてから買うようになった。
収納のために買ったかごやら便利グッズも随分捨てたのだ。

しかし、最近の100均はとてもかわいい。
買うまいと決めた食器もついつい見てしまう。小皿なんかたくさん種類があって、これを大皿の上にのせて・・・などと、やりもしないカフェ風プレートを思い浮かべたりしてしまうのだ。
ついつい見てしまうが、なんとか耐えている。
またテンションが上がらんとか言うて捨てることになるぞ！と自制している。
シールなんかもかわいい♡これを手帳に・・・とか思ってしまうが、シールで手帳を飾るほど几帳面でもないし、可愛いと思ったソレとアレとコレを買っても一貫性がなく、手帳もまとまりのないものになってしまう。
今日もなんとか、手に取るだけで買わずに店を出ることができた。
メッセージカードや、ポチ袋なんかもほんとに種類が多く、かわいい♡目移りしてしまう。
ついつい、ついつい手にとってしまう。
こちらはなんとか【今は】買わない、ということで自分を納得させている。
本当は今すぐにでも買いたいが、家にある。家にあるのがなくなったら買おう、とこちらは楽しみにとっている。
手芸のレースやら、ヘアピンやら、ウィンナーに指す串やら、木製のママごとセットやら、そんなものまで立ち止まってしまうくらいほんとにかわいい。
木製のパンやハンバーグや魚、そんなもんどうすんねん！ってわかってるけど、テレビ台に飾れやんかな？？と、ついつい手に取ってしまうのだ。
あかんあかん、そんなもん飾ったら、また埃たまるで、掃除しにくいだけやで。と言い聞かせてる。

今日も、何も買わずに店を出ることができたが、私は一体何をしに100均に通っているかと言うと、ゴミ箱を探しているのだ、子供たちのゴミ箱。
我が家にはゴミ箱が1つしかない。家中のゴミは全て1箇所に集約される。
1つしかないゴミ箱に運ぶのが面倒なのか、子供たちが不要なプリント類をなかなか捨てないので、それぞれの部屋の机や床に散らばり始めるのだ。
ミニマリストに憧れゴミ箱を減らして部屋が散らかるのは本末転倒すぎる。
小さめのシンプルなゴミ箱を探しているのだがなかなか都合の良いものが見つからず、週一で100均に通っている。
その度、私は100均に試されているのだ。
私はミニマリスト⇒ゴミ箱は１つ⇒ゴミを捨てない⇒ゴミ箱が必要⇒100均に通う⇒細々したものを買う・・・
コレだけは避けたい。
なんとか踏ん張りどころだ。
不要なものは買わないぞ！本当に必要なものしか買わないぞ！
私はミニマリストになるんだから！！
100円でかわいいものを売らないでください！私は意思が弱いんだから！！